2011年 総括 ジェフ編
ジェフユナイテッド市原・千葉の2011年シーズンを振りかってみたいと思います。
オーロイの衝撃
2011年シーズンのジェフは、やっぱりオーロイの衝撃から始まったと言えるだろう。
今シーズン、J1を制覇することとなった柏とのちばぎんカップでお披露目したオーロイ。開幕戦の北九州戦、震災からの中断明けとなった東京戦でもオーロイの威力が発揮される。
オーロイに依存しすぎという声もあっただろうが、何しろこの武器を使わない手はないのだから。この強烈過ぎる武器は、チームの構築を遅らせる事になる。
オーロイ対策に乗り出す他チームだったが、オーロイ裏を利用したセットプレーや、好調の深井の活躍もあり、それ程大きく響いてはいなかった。
失速
夏場を迎えて、オーロイの運動量が落ちたりという事もあり、不安視されていたが、それでも上位で昇格争いをするだけの位置にはつけていた。昨年、2連敗した、札幌に快勝するゲームもあった。
だが、7/31の横浜FC戦でオーロイが大怪我を負い、長期欠場。緊急補強で入った、大島も怪我がありすぐに出られない状況で、徐々に失速しだす。
8月はアウェイのFC岐阜戦で勝ったものの、白星から遠ざかる。9月に入ってアウェイのファジアーノ岡山、ホームの北九州戦で連勝したものの、黒星が続く展開となる。
監督解任と社長辞任
残り10試合、10月中旬の連戦。最初の2試合で連敗。ここで、思い切った手にでる。ドワイト監督を解任し、神戸TDが監督に就任する。
だが、監督交代直後のアウェイ栃木戦こそ引き分けたものの、昇格争いのライバル鳥栖、徳島に連敗し、昇格争いから脱落。35節でJ2残留が決定してしまった。
直後の味スタ2連戦では、選手の動きも悪く連敗。ラスト10試合で6敗を喫してしまった。
結局、11月の末に、三木社長の辞任が発表される。
ジェフの目指すべきもの
シーズンが始まって、オーロイという軸がいる事もあり、昨年とは違うという感じがしていた。序盤戦では得点も取れていて、得失点の上でも優位な状況にあった。
だが、昨年ほどではないにしろ、相変わらずアウェイで勝てない試合が多い。ただ、昨年はレイソルが独走してしまい、残り2枠を争う展開だったが、今年は東京ももたついていた事もあり、途中まではだんご状態でどこのチームにも昇格のチャンスがあった。
結局、昇格争いの勝負を分けたのは、チームの積み上げの差だった。札幌や鳥栖は、序盤戦では下位にいたはずだが、最終的には2位,3位でフィニッシュ。ジェフは、一旦勝てなくなると立てなおすのが難しくなった。
もちろん、オーロイ離脱の影響もあったにせよ、あまりにも序盤戦からは自身を無くしすぎていたと思う。ゴールを量産していた、深井のところから点が取れなくなった事も大きい。これは、深井だけの問題ではないが。
終盤戦は大事な試合を尽く取りこぼしている。昇格争いをしている相手との直接対決で尽く敗れたのは昨年といっしょだった。
ホーム開幕戦で快勝した東京とのアウェイでのゲームでは、力の差を感じさせられた。
今年1年を通して積み上げられたものが感じられない。J1昇格を逃しただけではなく、何も残らない1年になってしまった。
西部さんの犬の生活から振り返ってみる。
2年連続で昇格を逃した責任は選手にあります。プレーするのは選手であり、監督がどうの、フロントがどうのというのは次の話。選手の責任を軽くみるのは、かえって失礼だと思います。 とはいえ、選手のプレーに問題があったことを別にして、客観的にフロント、監督、選手の中で、どの部分に最大の問題を感じているかというとフロントになります。たぶん、昨年も同じことを書いたかと思いますが、クラブの現状認識と何をすべきかという方向性には大いに疑問がありました。
やはり、昇格を逃した一番の責任は選手にあると思います。選手、個々の能力から考えれば、J2では相当上のレベルにあったはずだし、その選手たちがここまで出来ないのは想定外でした。
もちろん、途中でオーロイが離脱した事は大きかったのは確か。だが、それよりも前にオーロイが出場停止で不在のゲームもあり勝っている。オーロイがいないから勝てないというのも、どうかなと思う。
オーロイの代わりにトップに入ったのが若い久保という事で、その荷を負うには厳しいかなというのもあった。もっと、久保のよさを出させてあげられればよかったのだが。
ドワイト監督になり、昨年のとやり方がガラっと変わったところで、戦術の浸透がうまくいかなかった。J2のチームは夏場以降、急激に伸びるチームが出始める。序盤戦で星をこぼしていても、盛り返してくる。相手チームの対策も、初戦とは違うものになる。
そういう中でジェフは上積み出来るものが、ほとんどなかった。あのままオーロイが出続けていたら少しはマシだったのかもしれないが、結局同じだったかもしれない。
西部さんは、強化を図るには一定の時間がかかるといっているが、2009年にJ2降格が決まった直後の犬の生活でもこう述べている。
さて、来季は「1シーズンで昇格」が目標として掲げられるのでしょうが、あまりそれにこだわらない方がいいと思います。今季の戦力を維持できれば、昇格は可能かもしれません。しかし、厳しい言い方をすれば、降格した戦力のまま2年経過して、見違えるように強くなるとは考えられません。主力の半数以上が入れ替わっているぐらいでないと、上がってもすぐに降格の危機を迎えるでしょう。 カギを握るのは育成になりそうです。補強もいいですが、自前でチームを支えていく選手を作るのが第一でしょう。とはいえ、それは1年や2年ではできません。中長期的な展望を持って計画的に、ある程度時間がかかることも覚悟して、腹を据えてかかるべきではないでしょうか。どんなチームならJ1で安定的に勝てるのか、ファンの支持を得られるのか、それには何が必要なのか。そのイメージを持つ必要があります。
フランスリーグを7連覇したリヨンは、2部で仕切り直してから初優勝までおよそ20年かかっています。しかし、ジャン・ミシェル・オーラス会長は2部の時から「ヨーロッパのリヨン」という目標を掲げていました。おそらく、彼には将来の絵が描けていたのだと思います。リヨンの20年は、起用する監督のタイプ、長期的に任せること、テクニカルディレクターが変わっていないことなど、明らかに継続性が見られます。継続する根気も大したものですが、信じられる「将来の絵」が描けていたのが大きかったのではないでしょうか。 J2からの仕切り直しになる来季、千葉はどんな「絵」を描けるのか。そこが大きなポイントになりそうです。
結局、このときの心配というか「1年で昇格」という事に囚われすぎて、継続性という面ではまったく、この2年での上積みがない状態になってしまったように思う。
個人的にも、昨年はがんばってJ1昇格目指してもいいとは思っていたが、J2で2シーズン目となる今年は、そこにこだわりすぎる必要はないと思っていた。
シーズン前にも、こう書いている。
今年もクラブとしての目標はJ1昇格という事になるでしょう。とはいえ、監督も選手も変わって思うようにいくかどうかも未知数です。個人的には、ここ数年の停滞感を払拭してほしいなというのが希望です。観ていてワクワク出来るような試合がホントに少なかった。
ある意味、J1昇格よりも上かなという感じです。少なくとも、J2降格1年目の昨年なら何がなんでもJ1昇格というところですが、2年目以降は力を蓄えておくことになる。一昨年のサンフレッチェ広島や、昨年のセレッソ大阪のように、昇格してすぐに上位にという事を実現するには、昨年のような試合をしていては到底無理で、もっともっと力を蓄えなければならない。それが、この1年で叶うのかどうか。
あくまで、個人的にはですが、J1昇格争いには加わらなければならないが、J1昇格に関しては二の次かなというところです。イメージ的には、2001年~2004年シーズンの川崎フロンターレのようにじっくり力をつけていくのもアリだと思ってます。
来季は再び監督が変わる。また1からの作りなおす事になる。ただ、先日行われた、シーズン報告会の議事録を見るかぎりは、少しは期待が出来るかもしれない。
チームの目指すべきビジョンがいくらかは明確になったと思うからだ。ただ、かつてはジェフの代名詞だった、人もボールも動くサッカー
は、今や日本のサッカー界では半ば常識的になってきさえしている。パスサッカーを志向するチームが多く、日本人の特性を活かすという意味でも、人が動いて、ボールを動かしてというのは、実はものすごくベーシックな事であったのだ。ただ、オシムさんはその当たり前の事を出来るようにしたに過ぎない。
それでも、今年やっていたサッカーは、個人的にはつまらないものだった。まぁ、オーロイの高さは、それなりに楽しませてもらったが、ロングボールが多くなり、どうしても単調なサッカーになりがちだった。一人ひとりの運動量が少ないなと感じる事が多かった。
今のところ、来季もオーロイは残るようなので、戦術をガラッと変えるにしろ、使い所が難しい選手になった。ただ、あーいう、スーパーな選手は1人くらい居てもいいと思うが。
個人的には、今年の最初に書いていたように、J1昇格を目指しつつも、しっかりとチームとしての完成度を高めて欲しい。シーズンの終わりに、結局何がやりたかったかわからないようなサッカーをされるのは、見るに堪える。たとえ、J1昇格を果たしても、チームとしての完成度が低いままではJ1では通用しないんだから。
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