こーいちぶろぐ

ホーム
Top映画

映画感想「ルックバック」濃厚すぎる1時間【ネタバレあり】

ルックバック

感想書きそびれてた「ルックバック」。

6月29日に観てましたが、しばらく経ってしまいました。

原作は、ジャンプラ掲載分は読んでますが、単行本は買ってないので結末までは知らないという感じです。

スポンサードリンク

濃厚すぎる58min

上映時間58minという比較的短い時間の映画ですが、濃厚すぎて60min未満なんだってのがびっくりするくらい引き込まれました。

画がね、ほんとに漫画の画なんですよね。これは、あえてだとは思うんですが、アニメっぽい色彩じゃないので、かなり特徴的な絵柄だったと思います。原作の藤本タツキのタッチそのままなのがまたすごいなと。

登場人物、学校の友だちや先生、藤野家の人たちと出ては来るんですが、ほとんどのシーンが藤野と京本を中心に話が進んでいきます。藤野と京本という2人の対比が実におもしろい。

舞台が、秋田県にかほ市。雪が降り積もっている場面は、日本海側の冬だなあって感じがしました。おそらく小学校くらいのときは、秋田市に何度かいっているし、冬場も行った事があるので、なんとなくこんな感じだなって感じでした。

京本だけが方言使っているのは、不登校で家の人とくらいしか喋らないからなのかなとか思ったり。何にせよ、秋田の方言のイントネーションが再現できてたのが素晴らしかった。

原作ラストまで読んではなかったものの、なんとなくこの作品の評判などから感じていた不穏なものがあって、それがだんだんとわかってきて辛かった。泣きそうになりながら堪えつつ最後まで見終えた感じでした。。

天才だって信じてた

小学校の学年新聞とはいえ、自分の才能を疑っていなかったであろう藤野。まあ、藤野はかなり調子乗りなところがあるので、それも相まってというのもあるけど。そこに突如現れた、自分を脅かす才能。京本の背景画は確かに上手かった。このときの藤野は、自分の画力が負けていたと思ったんだろうけど。

ここら辺の感覚は、なんとなく判っているつもりではあるけど、こういった才能を求められるというか、他人からの評価がものをいう立場に置かれたことがないので、本当の意味では理解できてはいないのだろうけどとも思う。

ちょうど同時期に公開中の「ぼっち・ざ・ろっく!」(以降 ぼざろ)なんかも、音楽の世界ではあるけど、他人から認められる立場という意味では似ているんだよなぁ。ぼざろのぼっちちゃんと、京本ってなんとなく似てるところあるんだよね。京本は、むしろリアル世界でのコミュ障っぷりが出ちゃってるけど。どちらも、ものすごい量の努力をしてきてたってところも似ているかな。まあ、ぼっちちゃんは、なぜか学校だけには通ってたけど。

2人なら最強

藤野と京本が、2人で組んで漫画を書き始めるところが、すごく好き。藤野にとって、京本は自分を脅かすライバルだったはずだけど、実は京本は藤野を尊敬していたという。

実際のところ、京本の絵は上手かったのだけれど、あれは漫画じゃないんだよね。漫画を描くっていう意味での才能は藤野の方が上だったってところ。漫画のかける藤野と、超絶うまい背景が描ける京本。その2人が組んだら最強だった。

今まで各々で努力して描いていたところを、2人で切磋琢磨していく。2人の才能の相乗効果。どんどん、2人で漫画をかいて、雑誌掲載を勝ち取る。漫画に掛ける青春そのもので、眩しい。

ただ、藤野が目指す先と、京本の目指す先は離れてしまってたんだなぁ。藤野を掴んでいた、京本の手が離れていく映像は、いづれ袂を分かつ事になるっていう未来を暗示していたんだなぁ。あのシーンは、もしかしたら、そうなるのではというのが頭をよぎってはいたけど、いざ2人がそれぞれの道を進む事になって少し切なかった。

それでも人生は続く

京本という最強のパートナーを失った、藤野はそれでも突き進んでいた。やっぱり、藤野は漫画を描く上では才能あったんだなぁ。ただ、アシさんが何人いようとも、京本に勝るパートナーはいなかったんだろうなっていうのもわかる。

そして、そこに唐突に訪れた京本の悲劇。もちろん、藤野からしたら、引きこもっていた部屋から、京本をださなければ起きなかった悲劇って考えるのもわかる。でも、それがなくても結局京本は、藤野と出会う運命であったんだろうなぁ。

京本からの「藤野ちゃんはなんで描いてるの」の答えはなんだったのか。そこには、間違いなく京本の存在があったんだろう。自分を脅かすライバルであり、ともに夢を追う同士であり、藤野にとって漫画を書き続ける原動力そのものだった気がする。

焦燥の藤野が漫画を描き続ける一押しはやっぱり京本だった。そういうことなんじゃないのかなと。

前の記事へ