大河ドラマ「青天を衝け」。感想です。
第三十回 渋沢栄一の父
あらすじ
栄一(吉沢亮)が、大蔵省に改正掛を設置し、躍進していたが、大久保利通(石丸幹二)は快く思っていなかった。岩倉具視(山内圭哉)は、西郷隆盛(博多華丸)が東京に出てこないことにしびれを切らし、自ら鹿児島へと向かう。
その西郷が、東京へやってきた。栄一とばったりと出くわすのだった。
その栄一は、大阪の造幣局で、新貨幣を見定めていた。そこで、五代才助(ディーン・フジオカ)と再会する。
その夜、三井の招きで宴が開かれ、その席で五代と話し込む。徳川は、鳥羽や伏見で負けたんじゃない、パリで薩摩に負けていたんだと言う栄一。薩摩ではそれを評価してくれる人がいないと、五代は喜んでいた。金は、お上や大商人の間だけ回るもんじゃない、もっと広く民に回らなければならない。
この大阪で、カンパニーを作るという五代。栄一も、もっと府県にカンパニーを作るべきだと意見は合うが、まだわだかまわりは解けていないのだった。
栄一は、女中のくに(仁村紗和)と話しかけられ、足袋の穴を繕ってもらうのだった。
政府は、西郷がやってきても、相変わらず何も変わっていなかった。西郷は、戦が足りないと言い立ち去っていく。
その真意を、栄一たちも測りかねていた。西郷さんは、もう1度政府をぶっ壊す気もしれないと栄一は言うのだが。
井上肇(福士誠治)は、西郷は廃藩をするつもりだと話し出す。廃藩置県を断行するべきと、乗り出すが、栄一が止める。
今のままでは、藩に抱えられている志士の禄はどうなるのかと。藩札と、太政官札との交換はかんたんには行かないとも。さらに、各藩の負債の処理にまで言及する。古今東西、争いの種は金だと言うのだ。井上は、改正掛に任せるとし、栄一も大変な事になったと、さっそく作業に乗り出す。
だが、廃藩置県は5日後。実質4日後に公布する事となった。やはり、4日では無理かという井上。栄一は、4日で作業をしなければ、また戦が起こるといいい、周りの皆を奮い立たせる。そして、4日後。廃藩置県が発せられる。全国に、藩が廃止され、県と府が置かれる事となった。
栄一は、大蔵大丞に出世する。大久保がやって来て、海軍、陸軍に800万円を当てたいと言い出す。まだ、税収は明らかになっていない中、そのような多額な金額を見込むのは承服しかねるとする。言い争いとなる、利通と栄一。利通は、改正掛はこの日限解散すると言い出すのだった。
自宅に帰った栄一の元に、血洗島の父・市郎右衛門(小林薫)が危篤との報せが入り、急ぎ血洗島へ向かう事となる。
まだ、なんの孝行もしていないという栄一だが、父は心残りはもうないといい、お前を誇りに思うと話すのだった。その2日後、市郎右衛門は息を引き取る。
感想
まあ、あの渋沢栄一ですからね。しっかり、くにとの出会いも描かれるのだなぁ。
そして、改正掛は、ここでも大活躍だった。そうか、あの廃藩置県の裏では、こんな事が起きてたのだなぁ。歴史の中の出来事としては有名だけれども、一夜にして藩を廃して、県を置くなんて簡単な事ではないからなぁ。
パリでの一見で、五代才助を敵視していた栄一でしたが、いざあってみたら、これほど馬が合う相手はいないって感じでした。実のところ、考え方は近いのだなぁ。
そして、改正掛の廃止。目はつけられていたけれども、大久保利通の鶴の一声で簡単に廃止になってしまうのか。維新の英雄・大久保利通の描かれ方が、この作品ではやはり違うのだなぁ。結局、大久保も西郷も、旧来の武士社会の人間でしかなかったという事か。もっとも、岩倉使節団でヨーロッパへ行って、少しは変わるのかしらね。
最後に、市郎右衛門の最期です。明治に入ってまもなく。当時の人ですから60歳過ぎまで生きれれば十分なのでしょうけれども。確かに、息子・栄一は立派になりました。百姓の出からすれば大出世です。でも、栄一の物語はまさにこれから始まるんですけどね