大河ドラマ「西郷どん」第43回の感想です。
第43回 「さらば、東京」
あらすじ
西郷隆盛(鈴木亮平)の朝鮮国への使節派遣を取り決めようとしたところ、大久保利通(瑛太)から反対の意見にさらされる。
大久保は、今は朝鮮国にかまっている場合ではなく、富国強兵に努め、鉄道、軍備、製糸工場など国内の産業を充実させる事が先決と説く。それでも、西郷は朝鮮国には在留邦人が残っているとし、これを見殺しにするのかと問い詰めるのだった。収拾がつかなくなったこの場で、岩倉具視(笑福亭鶴瓶)は仕方なく西郷の朝鮮派遣を了承するのだった。
大久保は岩倉になぜあの場で西郷の派遣を許したのかと問い詰める。あのままでは、自分たちの居場所がなくなってしまうとする岩倉。あとを託された三条実美(野村万蔵)であったが、心労のあまり倒れてしまうのだった。これにより、次回の閣議は取りやめとなってしまう。
倒れた三条を見舞いにいった西郷だったが、そこで聞いたのは大久保が何やら恐ろしい事を考えているという話だった。
岩倉は、明治天皇(野村万之丞)に謁見していた。三条に代わり太政大臣代理となるべく取り計らっていたのだった。
こうして、閣議は岩倉を太政大臣代理として取り仕切られる事となる。そして、天子様より西郷の朝鮮国派遣は取りやめになったと伝えられるのだった。これを受けて、閣議は紛糾する事となる。しかし、西郷はこれに従う事を決めるのだった。最後に、朝鮮国に取り残された邦人が危ない事があったら手を差し伸べてほしいと託し、去っていくのだった。
西郷は、この後辞表をだし、江藤新平(迫田孝也)らも相次いで辞表を提出する事となるのだった。これを受けて、大久保はさっそく次の人事を推挙していた。そこには内務卿となる自らの名前も記されているのだった。
岩倉は、酒宴に木戸孝允(玉山鉄二)、山県有朋(村上信五)、伊藤博文(浜野謙太)らをよびつけてた。岩倉は木戸に戻ってくれるようにたのみ、薩摩へ戻る西郷らが挙兵した場合に、長州の力でこれを止めてほしいと頼むのだったが、木戸は西郷はそういう男ではないとし、自らの病を理由に早々に帰るのだった。
後日、木戸は西郷の屋敷を尋ねるのだった。薩摩へと帰ろうとしていた西郷は、木戸に今後の事を託すのだった。かつての盟友との一時を過ごすのだった。
大久保が、屋敷へ帰るとそこにいたのは西郷であった。岩倉を太政大臣代理に仕向けたのは大久保かと問い、そのとおりだと話す。なぜこんな回りくどいやり方をするのかと問いただし、ただの喧嘩ならば他の人達を巻き込むことはないだろうとするのだった。大久保は、自分には譲れない信念があり覚悟の上でのことだとし、自らの事憎めとも言うのだった。それでも、西郷はこれまでずっと助けてもらった大久保正助を恨むことなど出来ないとするのだった。西郷の去り際、思わず吉之助の名を呼んでしまう大久保だったが、そこへ入ってきたおゆう(内田有紀)によってたち消えてしまう。
薩摩へと帰る事になった西郷。これが、西郷と大久保の最後の別れになるとは、このときはまだ知らなかった。
感想
大久保の反旗。自らのやり方をつらぬくために、岩倉を利用し西郷をなかば騙し討ちにしてまでやり通したかった事。大久保はこの後内務省を設立し、自ら内務卿となり国政を取り仕切る事となります。
確かに、大久保のいうとおり西郷は人の情にあつい人間で、甘いところも多々あります。現状、欧米列強に遅れをとっていた日本の富国強兵をすすめる上で、西郷のやり方では生ぬるいと感じていたのでしょう。さらにその情は自らの信念さえも揺らがしてしまうものだとも感じていたからこそ、西郷を政の場から退けたかったというのもあるのでしょうね。西郷に、西郷参議ではなく吉之助と呼び止めようとした大久保が言い残したかった事はなんなんでしょうかね。これが、西郷隆盛と大久保利通の最後の別れだとすれば後々後悔することにもなるのかもしれません。
その西郷は、大久保に国の事はまかせて、木戸孝允もいる事で、自らは薩摩で畑仕事でもして余生を送るつもりだったのでしょう。しかし、そこは簡単には西郷を表舞台からは引き離してはくれないのですよね。薩摩でくすぶる士族たちを鎮めるために私学校を設立する事になりますが、これが後々西南戦争へとつながっていくわけですからね。
次回は、薩摩へ戻ってからの話。私学校設立の流れになるようです。となると、西郷どんもいよいよ西南戦争そして最終回に向けてあと僅かになって