大河ドラマ「西郷どん」第36回の感想です。
第36回 「慶喜の首」
あらすじ
いよいよ薩摩藩を中心とした新政府軍と旧幕府軍の戦いが始まった。のちの「鳥羽伏見の戦い」である。
兵力で勝る旧幕府軍に劣勢を強いられていた新政府軍であったが、岩倉具視(笑福亭鶴瓶)立案の錦の旗を掲げて戦況を盛り返すのであった。しかし、そんなか信吾(錦戸亮)が撃たれて重症を追ってしまうのだった。一方で、負傷者が相次いて運び込まれる大坂城では、籠城策を取るように慶喜(松田翔太)に迫っていた。一旦は、戦いを続ける事をしめした慶喜であったが、その夜少数の家臣たちとともに大坂城を脱出。江戸へと逃げてしまうのだった。
勝どきをあげる新政府軍であったが、吉之助は慶喜征伐のために御所へと向かうのであった。江戸城では、嵐の中なんとかたどり着いた慶喜であったが、勝海舟(遠藤憲一)からは徳川の恥と罵られていた。さらには、西郷が怖かったのでしょうというふき(高橋凛)に対しても、思わず出ていくように命じてしまうのだった。
負傷者で溢れかえっていた京へ、イギリス人医師ウィリアム・ウィリスを京へ招き入れ手当をさせるのであった。そのかいもあって、信吾は重症の状態から回復を見せるのだった。それでも、鬼となったという吉之助の事をいう信吾に対して、一蔵(瑛太)は朝廷に懇願してイギリス人医師を京へいれさせたのは吉之助だと伝えるのだった。弟のためにそこまでする吉之助は鬼なのだろうかと。
いよいよ京を離れて江戸へ向かう事になった吉之助。信吾は、負傷明けながらもこれに帯同する事を懇願するのだった。
駿府まで進軍した新政府軍。慶喜は上野にて自ら謹慎していたが、吉之助は慶喜を信じられぬと江戸城総攻撃へと向かわせるのだった。
慶喜の元を訪ねた勝は、その気になれば最新の兵器、そして軍艦を持つ幕府軍が新政府軍に勝つ事もできるともちかける。しかし、それでは日本は終わってしまうと慶喜は言い、これ以上の戦いを望まない事を示すのだった。これを聞いた勝は、山岡鉄舟(藤本隆宏)に西郷の元へ向かうように命じるのだった。
単身駿府の吉之助の元を訪れた山岡は勝からの書状を渡し、勝と会うように頼み込むのだった。それでも、勝とは会わないという吉之助に、山岡は腹を切って誠意をみせようとするが、吉之助に止められるのだった。吉之助は、勝と会う事を承諾し江戸へ向かう事にするのだった。
江戸へ向かった吉之助たちだったが、薩摩のものと知られると周りのものたちは逃げてしまう有様であった。そこへ現れたのはなんと、幾島(南野陽子)であった。幾島の伝で吉之助は実に12年ぶりに天璋院篤姫(北川景子)との再会を果たすのであった。
感想
いよいよ戊辰戦争へと突入となりました。鬼となった吉之助は、慶喜の首を取るまではやめぬという決意で臨んでいたのだと思います。しかも、目の前で弟・信吾が撃たれて重症を負ったにもかかわらず。まあ、しかし慶喜は早々に江戸へ逃げてしまうのですよね。これにより、肩透かしを食らった格好になるわけです。
慶喜からすれば、元々は朝敵となる気はなく、戦もする気はなかったのだと思います。ただ、江戸での工作のあって幕府軍が成立してしまって神輿を担がれてしまった形になりました。奇しくも、かつて徳川が追い詰めて大坂城で籠城した豊臣家と同じような成り行きとなったわけです。ここであっさりと引いた慶喜は、いろいろと避難されもした訳ですが結果的には江戸城を引き渡して新政府にとっても悪くない流れが出来るのですから不思議なものです。
今回、イギリス人医師を京へ入らせる事に尽力した吉之助が描かれましたが、鬼となった吉之助が真の姿なのかが揺らいできました。吉之助からすれば慶喜の首をとって新しい世を作る事が正義であると信じているのでしょうね。ただ、ここで揺らいでしまうのが、これまでの吉之助とは変わらぬ部分なのかもしれません。山岡鉄舟の交渉であり、篤姫との再会。そして、次週は勝海舟との会談もありと、慶喜の首をとる事に固執していた吉之助の考えが揺らいでくるのです。
次回は、江戸無血開城となります。慶喜の首を取ることから、江戸城引き渡しへと考えがどう変わるのかといったところが見どころでしょうね。しかし、ここにきての篤姫様。幾島の方が少々老けメイクになったにもかかわらず、篤姫は相変わらず若々しい。次回の登場も楽しみです。そして、慶喜もそろそろ出番が最後の方になったんですかね。明治編を前にした幕末編がそろそろ終わりに近づいて