12月に届いて、8割方読み終わっていた、「オシムの言葉」ですが、冬休み中家では読めず今日になってやっと帰りの電車で読み終わりました。
集英社インターナショナル (2005/12)
この本、いろんな人に読んでもらいたいですね。もちろん、サッカー好きの方もそうだけれど、それ以外の方にもぜひ読んでみて欲しい。
最初と最後は、ジェフでの監督をやってるときの話だが、中盤は旧ユーゴスラビア監督時代、内戦突入間近の緊迫した状況での監督オシムが描かれています。
ほんのちょっとした、何気ない行動で奥さんと何年も離れ離れになってしまったんですよ。
ギリシャやオーストリアで監督を続けるオシムと、サラエボに取り残されたオシム夫人。人間オシムと監督オシムの両方が見えてきます。
本来、戦争とスポーツは切り離して考えるべきだとも思うのだが、この本を読んでいるとオシムにとってあの戦争は切っても切れない影響を与えていたのだと思う。民族紛争、日本では中々実感のわかない事だが旧ユーゴ末期にあったその現実。戦争自体は日本でもニュースで取り上げられていたけれど、その実態はやっと今日になってわかってきたのではないだろうか。マスメディアの怖さ。簡単に戦争を起こせてしまう。
オシムに、あの内戦は監督として影響があったかという質問をしたときに、「そういうものに学べるものがあるとすれば、それ(戦争)が必要になってしまう」と語っている。まさに、その通りなのだが・・・。戦争があったから今の名将オシムが存在するとも言えるが、それがなければ優れた監督になれないのでは困るのだ。
正直、この本の取材で筆者の木村さんはボスニアなどを訪れているのだが、現地の方にかなり食い込んだ質問をしている。表面上は穏やかだった現地の人も辛い過去をぶりかえしてしまったようだ。筆者自身も後悔の念があったようだが。もちろん、オシムに対しても旧ユーゴ紛争がらみの質問をしていて、本人あまり語りたくないんじゃないのかなぁって思うような事まで聞いている。
さて、ずっと気になっていた言葉に、「
この本を読んでわかったのだが、オシムがユーゴを離れれるときに最後の試合。ユーゴカップ決勝で優勝を飾ったパルチザン・ベオグラードの面々がおこなったシュプレヒコール。
(シュワーボとは、「ドイツ野郎」。オシムの祖父がドイツ系だったことからきた、オシムの愛称だそうだ。)
「シュワーボ、オスタニ!!」=「ドイツ野郎、残れ!!」。オシムを引き止めたいけど、離れざるをえなかった皆が言った言葉であった。
この下りを読んだときに、おそらくジェフサポたちは、オシムがジェフを去るときにこの言葉をささげたがるかもしれないなぁと思った。あとがきで、筆者もオシムが日本を離れるときには、「シュワーボ、オスタニ」の大合唱をしたいとあった。
オシムに取って忘れられない出来事であり、言葉であろうけれど・・・。とても辛い思い出でも、あるんだよなぁ。
オシムがジェフを離れるときは別の言葉で送ってやりたい。「シュワーボ、フヴァラ(hvala)」と。