亀之丞は、さっそく元服し井伊直親と名を改める。直盛(杉本哲太) は、駿府の様子を探らせる。今川は、尾張征伐を目指しており、何か願いを取り立ててもらうには兵を出さねばならぬという話。直親の帰参と、次郎の還俗を同時に認めてもらうには無理があった。

その頃、駿府では瀬名姫(菜々緒) が、いい縁もなく嫁に行きそびれていた。鷹を与えてもらえず、雀の世話をしている竹千代(阿部サダヲ) に八つ当たりをしてしまうのだった。

井伊の娘でなければ還俗など簡単に出来るものをと恨み節を言う次郎。そこに現れた南渓(小林薫)は超の国の話を持ち出す。道威という王がおり、中と伯という大臣がいたと。争いが起きて、どちらかを追い出さねばならなくなり、その2人にそれぞれ饅頭を分け与えたところ、中は腹の空かせた子供にやった。伯は後生大事に持ち歩きカビさせてしまったと。道威が大臣を続けさせたのは伯であったと。

元服した直親は、仕事熱心に領内の運営に携わる。小野兄弟はそんな直親の話をするが、そんな直親でも小野に対しては思う所あるのではと思っていた。だが、そこに直親が突如たずねてきた。直親は、お互い親の事では大変だといい、かつてと変わらぬように接するのであった。

直親は、直盛らから今川に帰参を認めさせるだけで精一杯とされ、次郎の還俗は諦める事となった。それを知った次郎も還俗は諦めるしかないとおもうのであった。

しかし、直盛は、直平(前田吟)に取り入り、密かに事をすすめるのだった。なんと、次郎は死んだ事にし、しばらくの間は直平の取り計らいで川名で過ごしてもらうというのだ。名を変えてあらためて夫婦になればいいというのだ。一旦はそれに納得し、遺書も用意しようという次郎だったが・・・。
いざとなると、井伊谷から離れるのが悲しく、思わず涙を見せてしまう次郎であった。

いよい決行の日となるが、次郎は南渓に言われた饅頭の話を思い出す。次郎は、おとわは死なぬと直親に告げる。直親と自分は饅頭だという。1つを取り置けば、困ったときに食べたり分けたりする事ができると。直親は、還俗するのは今ではないという事かと問いただし。自分に何かあったときかと。
井伊のためには死んでしまった事にする訳にはいかぬという次郎。次郎は、直親を説き伏せて還俗はしない事にするのだった。

直親は、その後奥山の娘しの(貫地谷しおり)と祝言をあげる事となる。

感想

亀之丞もとい直親がグイグイと来ます。おとわ以上に、夫婦になる事にこだわっていたのは直親の方でした。次郎の方も、その気にはなりますな。しかし、一回死んでもらおうとは、なかなかの奇策。自身が、長年井伊谷を離れていた事から、時間を稼いで時を待つというのは、ある意味なんとも思わないのかもしれないですが。

出家の身とはいえ、次郎はずっと井伊谷から離れていないのですよね。しばしの間とはいえ、父・母とも別れるのは実は辛かったりするという。もっとも、あそこで急に饅頭の答え合わせがでたのは次郎らしいかもしれません。実際、のちのち直親が死に、次郎が生き残った事で井伊家は存続していくわけですから、この判断は正しかった訳ですが。

瀬名と竹千代の出会い。まるで眼中にない瀬名でしたが、雀を手懐けてしまった竹千代サダヲにはびっくりでした。さすが「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」の家康様です。

そして、聖人君子と言われていた直親ですが、政次のおとわへの想いには実は気づいてたのですね。確かに、次郎がすでに還俗する気がなくなった時点で、政次にも目はなくなった訳ですが。何気にひどいｗ。

直親と奥山の娘が夫婦になるのは史実どおりで、後の井伊直政が産まれるわけですが、それはまだ先になりそうです。次回はようやく、今川に直親の帰参を認めさせようというところなので、まだまだ先は長そうです