「風立ちぬ」感想 ノンフィクションとフィクションとファンタジーと
帰省中に時間が空いてしまったので時間をつぶしに映画を観てきました。宮崎駿監督の「風立ちぬ」が丁度いい時間にやっていたので、この機会に観ておきました。
この作品は、実在の人物で零戦の設計者堀越二郎が主人公となり、同年代を行きた堀辰雄の人生を重ねあわせた内容となっています。
飛行機の開発に関する部分は堀越二郎、そして恋愛部分が堀辰雄と、それぞれ描かれています。
※感想という手前、一部ネタバレになっていますがご了承ください。
年代的には大正後期か昭和にかけての物語となっています。
二郎とヒロインの菜穂子の出会い。列車での出会いから、突然の地震。関東大震災の発生場面はファンタジックでありながらも、地震の脅威を伝えるには十分でした。
東京は火の海と化しましたが、二郎たちがいた上野近辺は辛うじて焼け残ったようです。
その後、二郎と菜穂子は再開を果たし恋に落ちる訳ですが、結核を患っていた菜穂子のモデルとなったのが堀辰雄の婚約者 矢野綾子であろうと思われます。この映画と同名の作品 堀辰雄の「風立ちぬ」はこのときの事が題材になっているようです。
この映画の中で二郎の空想シーンが出てくるのだが、イタリアのカプローニが出てきて空想上の飛行機が数多く出てくる。まさに宮崎アニメという感じの世界観である。ただ、メインのストーリーから急に場面が変わったりするので、中々ついていけない部分もある。物語の最後も空想シーンで終わっており、既に亡くなっているはずの菜穂子が出てきたりする。
物語としては、零戦開発に邁進する二郎と、病の菜穂子との結婚とまさにノンフィクションとフィクションが入り混じったなんとも言えない展開となる訳なんですが。おそらくは肺結核という病が当時は不治の病といった感じなんでしょうが、現代に生きる自分たちとしてはイマイチ時間として沸かないというのがあるのだとは思います。おそらく、現代だったら急性白血病だったりといった病気に置き換えてみればわかりやすいのかもしれません。
そして、物語のクライマックスというべきか、奈緒子は結局亡くなる訳ですが、直接的に死の描写はなく二郎自信も空想シーンで菜穂子が亡くなったというのを知るような感じだったので、泣き所としては微妙でした。
宮崎駿監督がこの作品を観て泣いたという話ですが、作り手として描かれてない部分を補完してイメージ出来たからなんでしょうね。正直、そこまでのイメージは自分には描けませんでした。
そういう事もあって、物語のクライマックスがぼやけてしまった感もありました。物語の終着点も見えづらいものとなってしまいました。
この辺は、見る側の人によって大分変わってくるのかもしれません。見る人が見ればおもしろいのかもしれません。
そう考えると、単純に人に奨められる映画ではないかなという感じです。物語の登場人物、年代、内容からしても子供向けではないです。恋愛部分は女性にも共感できる部分はあるかもしれないが、物語全体としてはそうでもないですし。ジブリファンなら楽しめるかというと、画や表現などはジブリ作品らしいし受け入れられるでしょうけど、物語としては完全なファンタジーでもなく、人によっては難しく感じるでしょうね。
おもしろいから観てみなよという感じではなく、見てみてどう感じるか考えてみてという映画でしょうね。
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